最初に。
 このブログはどこにもリンクを張らないし宣伝もしません。
 強いて、誰かに読んでほしいと思っていないからです。
 私はかつてライターとして活動し、さまざまな人々に会い、さまざまな経験をしましたが、今は廃業中です。
 もともとライター稼業を始めたのは、大学卒業後の就職活動に失敗して、生活費を稼ぐ手段が文章力しかなかったからという理由です。多くのライターは何か人に伝えたいことがあるからこの仕事を選ぶのですが、私の場合は、自分の文章を人に読まれることが苦痛に過ぎず、それゆえに廃業は最初から決まっていました。
 私が目標にしていたのは、どこかの企業に正社員として入社して平凡な日常を送ることであって、文章で独り立ちすることではなかったわけです。
 それで、私が夢をかなえたかというと、結論から行くと、失敗に終わりました。
 年齢的に言って、もう絶望でしょう。
 このブログは、私がかつて経験した出来事や会った人々について、思うところを書き綴る場所です。
 いまだに理解できないことや、気持ちの整理がつかないことが多いので、それを書くことで精神の安定を図りたい。そのための場所です。
 このブログを読んで、何らかの人生に役立つ教訓を得る人も、稀にいるかもしれませんし、何の役にも立たないという人が大勢でしょうが。これを読むあなたがそのいずれであったとしても、私は関知しません。

 先に挙げた、あまり積極的とはいえない理由でライターを始めた私は、二十代の長い時間を、不遇のまま過ごしました。
 三十間近になって、やっといくつかの幸運に恵まれて、プロの作家や企業相手にコネを作り、それを踏み台に、小説家や漫画家たちのために作品のプロット作成を行い、数多くのヒット作をこの世に生み出すことに成功しました。
 といっても、私の最終目標は就職先を見つけることで、企画者として認められるのはそのための手段にすぎませんでした。

 これが私にとっての不幸だったのでしょう。
 プロ小説家としてデビューさせようとか、何か文学賞を与えようとか、私のための会社を設立して社長に就任させようとか、そういう話は次々に舞い込んできたものの、私の目的である「会社員としての平穏な日々」が手に入るものではなかったため、すべてお断りしました。
 ところが、こうした行動は他人からはまったく理解されず、特に事情が分かっていないセミプロの漫画家や小説家志望者からは激しく嫌われました。
 私は自分が会った人や立案した作品について、特に秘密にすることもなく、日常的に話のネタにしていたのですが、それに対してこういう疑問を持つ人が後を絶ちませんでした。
「そんな大物とコネがあるなら、とっくに有名人になっているはずだ。そんな話は聞いたことがないから、お前の話は嘘に違いない」
 気が付くと、出どころ不明の悪口や悪い噂が飛び交い、困ったことに、私の就職活動にも支障が出るようになりました。
 さらに面倒なことに、私の話を嘘と決めつけたとある漫画家などは、よせばいいのに私と取引のあったプロのアニメ作家の複数が見ている前で、私のことを非難しました。きっと本人的には正義感に沿った行動だったのかもしれません。
 ところが、現実には私の話に嘘はなかったために、彼はプロの目の前で他のプロに言いがかりをつけた形になりました。それが原因で彼は仕事を失うことになったわけですが、この結末についての周囲の反応は「アイツは何か汚い手で陥れられた!」というものでした。
 私にとって不思議なのは、そのとき誰も、私の話の真偽を「当事者に問い合わせて確認する」ということをしなかったということです。思い込みと偏見で話を進めて、検証をしないのです。
 こういうトラブルが相次いで私の就職もライター業も台無しになってしまいました。

 それから10年以上の月日が流れてから、やっと私の話の内容を確認しようとする人が現れて、続々と裏付けが取れて、私の言葉のある程度が正しかったと確認されましたが、すべては手遅れでした。
 関係者の誰もが「そんなの知らなかった」などと言い訳をするばかりで、一人として謝罪の言葉を口にしなかったのは、不愉快なことです。

 これから、私は自分が落ちてしまった落とし穴がいったい何なのかを、一つ一つ考えていきたいと思います。