もしも詐欺師を見つけたら?
あるいは、詐欺師に騙されている人を見つけたら?
どうするべきなのか?
これは答えの難しい問題だ。

普通に考えれば――その詐欺師を告発したいところである。
正義感の強い人ならきっとそうすることだろう。
しかし、やってみればわかる。
これは非常に困難であると。

詐欺師は餌食にする相手を見つけると、その人の「友達」になろうとする。
そして、偽りの友情に基づいて嘘をつき続け、嘘の関係を構築する。
カモに嫌われたらお金を搾り取れない。だから好かれようとするのだ。
その嘘は、第三者の目には見え見えであっても、騙されている当人には友情に見える。
最悪の場合は、詐欺師に洗脳されている。
非常にタチが悪いのだ。

たとえば賢いあなたが、騙されている人を見つけて「そいつは詐欺師だよ」と教えてやって、嘘を暴いたとしよう。
するとどうなるか?
騙されている人はすっかり詐欺師のことを「友人」だと思っている。
そこまでいかなくても「自分をわかってくれた人」などと思っている。
つまり犠牲者の脳内では「自分は特別な人間で、理解者もいる」ということになっている。
だから「自分は特別でもなんでもなく、理解者と思った人間はただの詐欺師だった」などという現実を、知りたくはないわけだ。

こうして、哀れな犠牲者たちは、詐欺師の方を信用して、あなたのことを「酷い人」「言いがかりをつける人」などといって、非難するだろう。

その詐欺師の獲物が複数いたりすると目も当てられない。
いつの間にやら貴方の周囲は敵だらけだ。
詐欺師はここぞとばかりに嘘の説明を始めて、自分のカモの結束を固くしようとするだろう。

あなたが論理的な説明や業界の常識的知識を駆使して、詐欺師の主張の矛盾や非常識を突いたとして、それに耳を傾ける人は驚くほど少ないだろう。
嘘を暴かれても詐欺師は慌てない。
別の嘘をついて誤魔化すか「嘘をついたのは君のためなんだ」などといって、嘘を正当化するだろう。
そして驚くほど呆気なく、犠牲者は再び騙されてしまうのだ。

詐欺の犠牲者が、自分にとって赤の他人であったならば、最終手段は簡単に選べる。
つまり、犠牲者を「見捨てる」という選択肢を採用するのだ。
だが、困ってしまうのはその犠牲者が自分の仕事上の相棒だったり、友人だったりするケースである。
見捨てようにも心情的に見捨てられない。
更には、その友人を騙している詐欺師が複数いたらどうする?
私が落ちた落とし穴の一つは、こういう最悪のケースだった。(続く)